或るギラサポの回想録

本城陸上競技場ゴール裏に通っていたギラヴァンツ北九州サポーターのつぶやき

【前編】本城ゴール裏における「アニメゲーフラ」をめぐる問題について

本城ゴール裏の「アニメゲーフラ」については、Jリーグファンで「J's GOAL」や「ドメサカまとめブログ」等をご覧になっておられた方々はご存知のことも多いかと思います。
以前は頻繁に話題に挙がっていた各種のアニメゲーフラは、ある時を境にしてゴール裏から殆ど姿を消しました。それを掲げていたサポーターと共に。

私は以前、その中に居た一人でした。


私が本城陸上競技場に通うようになったのは2011年のことです。最初はA席で観戦しておりましたが、あるきっかけでゴール裏に足を運ぶようになりました。

そのきっかけというのが、アニメゲーフラでした。

サッカー好きであり、同時にアニメ方面も好きだった私にとって、当時本城ゴール裏で掲げられ始めていたアニメゲーフラの存在は、ゴール裏という場所に対する「近寄り難い」イメージを和らげ、「なんか面白そうな事やってる人が居るから行ってみようかな」と思わせてくれるものでした。

それから、私は実際にゴール裏で応援するようになりました。


いま当時を振り返ってみて思うのは、あの頃の本城ゴール裏の雰囲気というのは、排他的なものではなく様々な趣味や嗜好の人を受け入れてくれる多様性と懐の深さがありました。そのような雰囲気の中で、アニメゲーフラも応援スタイルの一つとしてその中に確立していき、いつしか本城ゴール裏名物と呼ばれるようになっていきました。

J's GOALやドメサカまとめブログ等の媒体でも紹介され、他サポの方の間でも話題となりました。そして、私と同じようにアニメゲーフラをきっかけにしてゴール裏に集まるようになった人達の間で自然に交流の輪が広がり、仲間も増えていきました。

自分の趣味や特性を活かしながらゴール裏で懸命に声を涸らし、全力で応援する。

熱く、楽しく、幸せな空間がそこにはありました。

アニメゲーフラと聞くと、中には「応援よりもただアニメネタを持ち込んで目立ちたいだけなんだろう」という意見も時折聞かれますが、少なくとも私を含めた当時の集まりの中では「ギラヴァンツの応援に繋がることを第一に考えること」がアニメゲーフラを掲げる際の大前提でした。

その為に自分達の趣味を活かした応援スタイルをし、表現についても気を配り、同じような趣向を持つ層にギラヴァンツ北九州に対する関心を持ってもらうことも考えながら行動していました。

集まった仲間同士で交流を深める中で、もっとギラヴァンツ北九州を知ってもらうためにできることを共に考え、観戦レポートを同人誌に纏めてコミケで頒布するといった企画も動き始めました。


それらの状況に変化が起こったのは、2014年のことです。

それまでコールリーダーを務めておられた方が交替してからほどなく、新たなコールリーダー(現在のYELLOW BRIGADE並びに本満会会長の染岡氏)より突如、アニメゲーフラの掲示に対して指示が行われました。

・アニメゲーフラのゴール裏コアゾーン(バンデーラの中)での掲示を禁止すること。
・掲示の際はバンデーラの外に出てから行うこと。

「コア集団が目指す応援スタイルにアニメゲーフラがそぐわない」
というのが、彼等の言う理由でした。

その指示が通達された当日は私はスタジアムには居らず、後日のホームゲーム開始前にゴール裏でアニメゲーフラを掲げようとした際にサポ仲間からその事を聞かされました。私は「それはおかしい」と声を挙げました。

・アニメゲーフラは本城ゴール裏での応援スタイルの一つとして既に定着しており、それを好き嫌いで一方的に排除するのは道理が通らないこと。
・公序良俗に反するような表現があったのならともかく、そういった問題はなかったこと。
・仮にクラブが規制するのならまだ話はわかるが、YELLOW BRIGADE自体にゴール裏で排除を行う正当な権限は無いこと。
・正当な根拠無く特定の表現やそれを行う人物を規制・排除することは、悪しき前例となりその後に禍根を残すこと。

これらを懸念して、私は「そんな筋が通らない排除には納得できない」と明言しました。コア集団の側としては、「排除ではなく棲み分けだ」との見解だったようですが、それまで問題無く行われてきた表現を正当な根拠も無く締め出すのですから、言葉はどうあれ排除でしかないと感じました。

結局その場ではそれ以上の話は出来ず、スタジアムから帰宅した後で一連の出来事を私はTwitter(当時から現在まで非公開状態のアカウントです)に書きました。私の書き込みに呼応するように、サポ仲間の中から今回の決定に異論の声が次々と挙がりました。やはりこの決定に対して疑問を持つ方が多いのだなと私は思いました。

しかし、その時点では私は聞かされておらず、後で知ることになりましたが、一連の決定の通知にあたっては、「この件についてネットでの言及を控えるように」との念押しが為されていたとのことでした。
彼等としては事を大きくしたくなかったのかもしれませんが、結果的にネットでの言及を控えさせたことが、決定の周知が広く徹底されず私のように後でスタジアムで決定のみを知らされるような事態を生みました。
そもそも、自らの方針について正当なものという自信があるのなら、ネットで批判の声を挙げられたとしても、堂々と反論できる筈です。批判に対して彼等の主張と異なる点があると感じたのであれば、それを発信していけば済んだことです。
その点に関しても、彼等の決定に対し疑問を強く持ちました。

結果として、アニメゲーフラをバンデーラ内で掲げさせないという彼等の決定に対して疑問や批判の声がTwitter等で挙がったことに対し、決定を通知した彼等の取った対応は、意見の表明でもなく説得でもなく、発言を行った「犯人捜し」でした。

そして、2014年5月11日、
最初の事件が味の素スタジアムで起こりました。

アウェイの東京ヴェルディ戦を観戦しに行ったサポ仲間の一人が、染岡氏とその取り巻きにより集団で取り囲まれ、ネットでの書き込みに対して難詰され、胸倉を掴まれて恫喝を受けました。この一件については被害を受けた当事者のツイートもありますので、ご参照ください。

http://togetter.com/li/895016



そして、続く2014年5月31日、
同様の事件が今度はホームスタジアムである本城(対栃木戦)でも発生し、相次いで被害者が生まれる事態となりました。

異論に対し、反論でも説得でもなく恫喝で圧殺するという暴挙が相次いで繰り返されたことに私は強い憤りを感じ、アニメゲーフラ仲間で当時集まっていたグループの中でこの問題について提起し、対応を議論しました。議論の中で、今回の件に同様に憤りを感じ彼等に失望したメンバーの多くはゴール裏から離れることを決断しました。ですが一部のメンバーはゴール裏での応援を続けることを望み、そこで結果的にグループは分かれることになりました。私自身も事態の悪化を危惧し、ゴール裏、そしてスタジアム自体からしばらく離れることとなりました。

ある時期を境に本城ゴール裏からアニメゲーフラが殆ど姿を消した理由は以上です。

 

現在でもゴール裏に残った一部の方はゲーフラを掲げ続けておられますが、私自身はゴール裏に残る判断をされた方に対して非難等を行う気は全くありません。それは各人の判断の違いであり、判断は尊重します。
ですが私は、異論に恫喝で対応するコア集団の行動にやはり納得できず、その場所を離れる決断を選びました。

この件については当時のグループの中からクラブに対しても当時のスタッフの方を通じて事情を伝えましたが、事なかれ主義で揉め事を公にしたくなかったのか、結果的に事態への対処は為されませんでした。被害を受けた方は忸怩たる思いを抱きながらも、愛するクラブへ悪い影響を与えたくないとの思いで、ずっと声を押し殺してきました。私個人としても、実名と連絡先を明らかにした上でクラブに意見を送りましたが、返事は頂けませんでした。


以上、アニメゲーフラを巡る問題について、私の知る限りの経緯をまとめさせて頂きました。


この一連の件については、長い間声を殺してきた被害者の方がようやく意見を表明できる状況となってきましたが、ネット界隈の一部では、この件について「事実無根なデマだ」との反応も見られます。

一連の恫喝事件については、明確な被害者も現場での目撃者も多数存在する事実であり、デマなどでは決してありません。
この話をデマと断言する一部の方に対して、私は激しい憤りを覚えます。
あなた方こそ、無責任に混乱を招く情報を吹聴するデマゴーグに他なりません。事態の重さを少しは考えてから自らの言葉を省みてください。


(後編に続きます)